原点へ・・・。・22
原点へ・・・。・22
私は、手探りで閂を外し戸を開ける
「ドンッ」
雪乃「キャッ」
外にいた人物は、急に扉の中へ倒れ込むように
入ってくる
雪乃「ちょ、ちょっと中には」
「・・・何だよ姉さん一人か」
先程までの弱々しさが嘘のようだ
私は、一気に警戒をする・・・。
「おいおい警戒するなよって、
いきなりは無理かあはははははっ」
雪乃「先程の腹の痛みは嘘ですか」
「いいや嘘ではない
それに、、儂は痛いとは言っておらん」
雪乃「・・・あっで、でも・・・。」
「儂が言いたかったのは、腹が減りすぎて
死にそうじゃってことだ
娘さん悪いが、なにか馳走してくれんか」
雪乃「はぁ~・・・そこらに、大根があるでしょ
それでも食べて出ていってください」
「そうか悪いな・・・って・・・あんた・・・。」
雪乃「」
男が身体を触ってくる
雪乃「な、何を」
「いや娘さん・・・何の病じゃ」
雪乃「えっ」
「・・・それに、あんた・・・目が・・・。」
雪乃「ふ~っ・・・前の病を患ってから、
目は殆ど見えていません・・・。」
「・・・なるほど・・・あんたが噂の百薬師か」
雪乃「・・・・どんな噂かは、知りませんが、
私は百薬師です・・・ですから、あなたも
早くここから立ち去らなければ、病に冒され
ますよ」
「ふむっ・・・はじめて見たが・・・。
まあ、よいとにかく大根を馳走になるぞ」
そう言うと、男はシャリシャリと大根を
貪っているようだった・・・
しばらくして・・・。
芦「いや~っうまかったご馳走になった
おっそう言えば、まだ名乗っていなかったな
儂は、陰陽師にして修験者の・・・・まあ、
芦(あし)とでも呼んでくれ」
雪乃「芦変な名ですね」
芦「はははっ眼の前に術者がいるのに、本名は
出せんからな~念の為じゃ許してくれ」
雪乃「ふ~っ・・・っで、その芦さんは、いつ出ていくの」
芦「おいおいそんな邪険にするな
折角、噂の百薬師に会えたんだ、少しぐらいいいだろ」
雪乃「病が伝染りますよ」
芦「まあ、伝染ったときはその時に考えればいいだろう
しかし・・・あんた、何で百薬師なんかに・・・。」
雪乃「・・・・。」
芦「おっと詮索は野暮だったな
それよりも、こんなところで一人とは、物騒だね~」
雪乃「そうですね・・・変な修験者が入ってくるくらい
ですから」
芦「おっとちげぇ~ねぇ~あはははははっ」
なんか、調子が狂う・・・
芦「しかし、ここが百薬師の社となれば、人は近づかん
だろうが、死に一番近いのもあって、魑魅魍魎の類が
お前さんを狙いにくるんじゃないのかい」
雪乃「来ますよ・・・ただ、私にかかっている病や呪いは、
そういった者たちですら嫌いますからね
私の魂を奪う前に、自分に呪がかかってしまえば、
そんな輩ですら未来永劫苦しみますから・・・。」
芦「そ、そうか・・・あんたの仕事の凄まじさが
わかった気がするよ・・・」
一体、いつまでいるのだろう
病が伝染ることを恐れながら、答える私・・・。
何も気にしないような、芦という陰陽師・・・。
夜が更けてゆく・・・
続く・・・。
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