原点へ・・・。・12

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原点へ・・・。
・12
雪乃「天岱様
・・・私は、この村に残りたいと
思っています・・・
」
僧正「しかし・・・。」
雪乃「わかっています
村の人たちは、私の占いが
災いを呼び込んだ・・・わかっていたのに
そのことを伝えず、村人を犠牲にしたと言う
噂が流れていることも・・・。」
僧正「それでは何故
」
雪乃「・・・もう・・・逃げたくない・・・。」
僧正「
」
雪乃「どんな事を言われても、自分から逃げるのは
もうやめようと決めたのです
」
僧正「雪乃・・・すまなかった・・・
」
雪乃「天岱様が謝ることではないです
」
僧正「いや
儂らがあの時、村の者に伝えていれば、
お前を苦しませずにすんだものを・・・
」
雪乃「いいえ
天岱様やお師様・・・比治様は、
私を守ってくれたのです
ですから、そのことは後悔して欲しくない・・・
私は、あの時守ってもらった分、天岱様には、
守って良かったと思われるような生き方が
したいんです
」
僧正「
」
雪乃「私は・・・禁精呪術医師(きんせい)に
なろうと思っています
」
僧正「
」
雪乃「禁精呪術医師なら、ここに残ってもお山に入ることも
許されますよね
」
僧正「し、しかし、雪乃
昔の百済国の特殊な医師(くすし)は、
通常の生活はできないのだぞ
それでも百薬師(くだくすし)になると言うのか
」
雪乃「はい
お願いします
」
私の真っ直ぐな決意の眼を見た天岱様は、
眼に涙を浮かべながらも承諾してくれた・・・
歴史上、誰にも知られず存在した医師・・・百薬師は、
確かに存在していた
・・・今では伝説上の存在と言われ、
その凄惨な治療法から、技術を受け継ぐ者はいない・・・。
続く・・・。
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