原点へ・・・。・21

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原点へ・・・。21

それからの私は、色々な噂が独り歩きをはじめ、

仕事が次から次へと引っ切り無しの状態となり、

毎日が痛みと苦しみとの戦いになっていった・・・。

しかし、父の「もう少しだけ・・・。」という

言葉に励まされたことで、自分が限界までは、

頑張ることを決め、それと同時に初めて自分の力を

強めることを望んでいた・・・。

それから2年の歳月が経った・・・。

兵助は、薬師として多方面に足を伸ばすことを

強いられることが多くなり、三ヶ月、半年と

帰って来られない日が続く・・・。

その代わりといっては何だが、新たな薬師が

私の身の回りの世話をしてくれていた・・・。

そんな中・・・。

「ホ~ゥ!ホ~ゥ!」

病の治療薬を作るため、新たな病と戦っている中、

ふと、社の外に何かがいる気配がする・・・。

雪乃「(こんな夜更けに・・・。) 誰?」

「う~ん・・・う~ん・・・。」

病人?何か、苦しそう・・・。

雪乃「どうされたのですか?」

「腹が・・・腹が・・・。」

雪乃「腹が痛いのですか?」

「苦しい・・・助けて・・・戸を開けてくれ~!」

雪乃「すみません・・・私は今、病と戦っております!

   あなたにも伝染るかもしれない・・・戸を開ける

   のは良いのですが、中には入れることは・・・。」

「そ、そんな嘘をつかなくても・・・何もしませんから

 助けてください・・・。」

弱々しい声が、さらに弱々しくなる・・・。

私は熱のある中、慌てて扉を開こうと駆け寄る!

雪乃「良いですか?本当に開けますが、決して中には

   入らないでください!」

「うううっ・・・助けて・・・。」

雪乃「や、約束してください!」

「わ、わかった・・・約束・・・する・・・。」

私は、その約束の言葉を聞いて、すぐに閂を外し、

戸を開く・・・。

          続く・・・。

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