異世界冒険譚・34
刺された
透明「・・・んっ
刺されてない
ちび「ううっ・・・。」
透明「
私の後ろに、ちびにゃが倒れている
私は、急いでちびにゃを抱えて、その場を
離れる
透明「ちびにゃ
ちび「とう・・・めい・・無事
透明「ああ、私は大丈夫
で、でも、ちびにゃが・・・。」
ちびにゃの身体には、明らかに毒針が刺された
跡が・・・。
透明「な、なんで
ちび「ははは・・・さすがに、効かなかったみたい
透明「ちびにゃ
こんなの・・・ダメだよ・・・。」
ちび「とうめい・・・ちゃんと、元の世界に
帰るんだよ・・・おいら・・・とう・・
めいとい・て・・・たのしか・・・ったなぁ・・・。」
透明「ち、ちびにゃ
ダメだ
ちびにゃを、木の節に寝かせ、立ち上がる・・・。
透明「・・・・・。」
エレ「
透明の目が赤く変色してゆく・・・。
透明「もう・・・絶対に許さない・・・。」
マンティコア「
私の気配に気づいたマンティコアが、私に向かってくる
全ての攻撃が緩やかに見える・・・。
マンティコアが、口から赤黒い炎を吐き出す
透明「・・・結・・・。」
透明の周りに結界が発動し、炎がかき消されて行く
マンティコアがもう一度、炎を吐こうとした瞬間
マンティコアの顎下に滑り込み、顎を蹴り上げる
「バフ~~~~~ッ
マンティコアが放とうとした炎は、口の中に広がる
たまらず、地面に顔を埋めたその額の先には
透明「ふ~っ
足を踏み込んだ地面から、凄い勢いで砂埃が舞う
「ズドン
マンティコアの眉間は拳の威力と浸透する衝撃に
よって、砕かれる
マンティコア「ぎぃわあああああぁぁぁぁぁ
その巨体が、地面へと沈んでゆく・・・
その亡骸を確認もせず、ちびにゃの元へ
走り寄る透明先生・・・
透明「ちびにゃ
ち、ちびにゃ
どこ
エレ「透明
透明「
エレさんが指差す場所には、木の枝が
幾重にも覆いかぶさった卵のようなものが
透明「えっ
ちびにゃは、この中なの
エレ「見ていろ・・・。」
透明「
木の枝が・・・自然とひらいてゆく・・・。
ちび「・・・・。」
透明「ちびにゃ
ちび「・・・んっ
ここどこ
透明「えっ
傷が塞がっている
透明「ちびにゃ
ちび「・・・何言ってるんだよ~
透明「ちび・・にゃ
私は、そっとちびにゃを抱きしめ、涙する・・・
ちび「と、透明
透明「うん
ちび「も~う
おいら、お腹すいた~~~~~っ
王樹は、神獣であるちびにゃを守り、
治癒してくれたのだろう
この世界の自然の力は、偉大だと改めて
感じさせられた・・・。
この後、エレさんは後処理の為、最深部を歩き回り、
ところどころに、結界のようなものをはっていた
私達が洞窟から出るときも、要所に結界をはり、
やっと表に出たときには、日が沈んでいた
エレ「・・・さて、帰ろう
透明「その前に・・・。」
エレ「・・・・。」
透明「ひとつ、聞いてもいいですか
ちび「
エレ「・・・ああ
透明「この世界に私を呼んだのは、あなた
ですよね
ちび「えっ
エレ「・・・・ああ・・・。」
透明「どういうことか・・・
説明してもらえるよな
エレ「・・・・。」
続く・・・。
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