異世界冒険譚・19
私の目の前に大きく立ち威嚇している
その魔物は、黒い身体に熊のような体躯
頭はカエルのような爬虫類顔をしている
にも関わらず、頭には鶏冠のように
毛が生えている・・・
その上、頭からなのか
なんだか、ヌメ~ッとした液体が体全体に
まとわりついていて、滴っている・・・
透明「うえ~っ
しかし・・・前回のシーケアルと言い、
このクラーグスと言い・・・どこかで
見たことがあるような気がするんだよなぁ~
ちび「透明
透明「
グラーグスが大きな爪のついた腕を振りかぶり
叩きつけてくる
それを、ヒョイっと避ける透明先生
ちびにゃも避けたが、あのヌメ~ッとした
液体が身体にかかる
透明「おりょ
ちび「透明
透明「うん
そう言うと、右手を振りかぶり、グラーグスに向けて
拳を叩き込もうとした、その瞬間
ちび「透明
透明「
ちびにゃの声に、拳を止める
ちび「こいつの体液は、毒みたいだ
直接触ったら、手が毒に侵されるぞ
透明「えっ
ちびにゃ
大丈夫なの
ちび「オイラは平気
神様の衣があるから、毒は通じないんだ
透明「おお~っ
確かに、ちびにゃの身体が少しだけ光って見える・・・。
透明「う~ん
手甲でも、毒までは防げないか・・・
ちび「ど、どうする
もちろん、相手は待ってくれないよね~
会話中も、次々と攻撃してくるグラーグスを
かわしながら、色々と思案する・・・。
透明「(手甲は駄目としても、足ならどうだ
でも、あの液体がついたら、どちらにせよ
駄目か・・・。)
う~~~~~ん
ちび「と、透明
ちびにゃは、飛べるから、最悪逃げられるけど、
この状態だと、私でも逃げ切れないなぁ
それに、ゴルさんの足だと、まだ追いつかれる
可能性もある
もっと可能性が下がるか
・・・・こうなったら、覚悟決めるか
私は、突進してくるグラーグスの正面に立ち、
構える
「ドウンッ
突然、グラーグスの顔面に炎が巻き起こる
透明「
後ろから
虚を突かれたグラーグスが、少し距離をとる
透明「・・・やっぱり、効いていない
でも、ゴルさんのおかげで、少し頭が冷えた
自己犠牲しても、全員が助かる見込みも
立っていないのに・・・もっと考えないと
厄介なのは、あの液体
炎系と考えれば、効果は薄いということか・・・。
透明「ちびにゃ
ちび「な、何言ってるんだよ
透明「ちびにゃは、後ろにいるゴルさんと合流して、
早く森から出て
そうすれば、私も何とか離脱できるから
ちび「な、何でそんなに冷静なんだよ~
ほおっておける分けないだろ~
透明「ふ~っ
後でちゃんと合流するから
ちび「やだー
透明「
そう叫ぶと、ちびにゃが、グラーグスに突進
当然、巨体に弾かれる
透明「ちびにゃ
ちび「くそ~~~~っ
透明「ちびにゃ
ちび「オイラは、大丈夫だ
神様の衣は、衝撃も受け止めてくれるから
透明「・・・・・ピンッ
ちびにゃ
ちび「な、なに
透明「ちょっと、私の手甲にしがみついてみない
ちび「えっ
透明「そうそう
思ったとおりだ
光っている
透明「ちびにゃ
ちび「えっ
私は、本気モードでグラーグスを撹乱するように
足を使う
キョロキョロしているグラーグスに、今度は見えるように、
正面に立つと、当然グラーグスは突進してくる
私は、腰を深く落として構える
透明「ちびにゃ
ちび「えっ
ま、まさか
透明「浸透勁・八卦掌
ちび「と、とうめ~~~~~~~~いぃぃぃ
いや~~~~~~~っ
ちびにゃが振り落とされない程度のスピードで
グラーグスの眉間に手のひらを叩きつけ、
それと同時に、身体全てをバネのように捻り、
理力を一点に集中
グラーグスの脳天へと叩き込む
グラ「ぐわああああぁぁぁぁぁぁっ
カエルが潰れたような声が森に木霊する
「ズシ~~~~ン
グラーグスの巨体が、地べたに沈む
ちび「ううっ
フラフラしているちびにゃを抱きかかえ、
グラーグスの様子を見る・・・。
透明「・・・・よし
ちび「透明~~~
・・・・えっ
グラーグス・・・倒しちゃった
透明「ちびにゃ
これしか方法が思いつかなくて
ゴル「お~~~~~い
遠くから、ゴルさんの声がする
取り敢えず、クエスト完了
報奨金が楽しみだ
続く・・・。
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