あんぎゃ~~~っ・22
あんぎゃ~~~っ
しばらくの沈黙・・・
幻獣は純粋な存在であるが故に
苦しむのかもしれない
透明「応龍さん・・・貴方のテリトリーは
どこまでですか
応龍「・・・この地・・・全域・・・。」
ひえ~っ
新潟全土ということか
さすがは龍
凌駕している・・・。
もともと、幻獣はその土地に生まれ、
自分の守るべき範囲を持っている
このテリトリーは、他の幻獣などと
ぶつかることはあまりない
それには理由があり、幻獣の持つ力の象徴が
相反する意味を持つ幻獣の力とぶつかれば、
各々の存在が消し飛んでしまう恐れもあるからだ
透明「さ、流石に広いですね
ということは、今までずっとこの地を・・・。」
応龍「守ってきた・・・だが・・・望まれなく・・・。」
透明「それはちょっと、違うかもしれませんよ
応龍「
透明「応龍さんは、何百何千という年月を
人の営みの為に守ってきたじゃないですか
それって、上手くいっているからこそ
望みが薄くなったということなんじゃないでしょうか
応龍「・・・よく・・・わからない・・・。」
透明「分からないのは、この現状が安定している
証拠なんです
応龍「
透明「幻獣は、人の純粋な気持ちから生まれた存在
だからこそ、人に寄り添い、もたらされた力を
人々のために使い、テリトリー内を安定させて
きたのでしょう
人間は、そのことを忘れているかもしれませんが、
それは、忘れられるくらい応龍さんの加護の元、
平和な状況が続いている証なんです
応龍「・・・役に・・・立っている・・・。」
透明「そうです
いるんです
これは、私の憶測ですけど、この地を治める
弥彦の神様も、応龍さんに任せているから
安心してお仕事ができているのだと思います
幻獣が神獣になるには、長い年月がかかると
聞いたことがありますが、神様が何も言って
こないところを見ると、やはりその判断が
正しいのだと思います
応龍「そうか
透明「ただ、これだけは、覚えておいて欲しいのです
応龍「
透明「人間は平和に慣れているとは言いましたが、
それは大まかな平和です
人が生きて行く上で最も大切な土地や生活を守ること
それは本当に偉大なことですが、残念ながら
大きな平和の下には、小さな不和も多く起こります
人間は決して平和を求めなくなったわけではなく、
大きな平和から意識が外れ、次の平和を望むように
なったのだということです
応龍「次の・・・平和・・・
透明「はい
大きな身体の応龍さんには取るに足らない小さな不和
かもしれませんが、小さな人間にとってはそれも
大きなことなのです
応龍「・・・・どうすれば・・・いい
透明「小さな存在である人間に触れてください
応龍「人間に・・・触れる・・・。」
透明「そうです
平和や平穏を感じてください
応龍「・・・しかし・・・人間・・・多い・・・。」
透明「一度に全てをとは考えず、まずは一人でも良いのです
人が持つ平和の意味に触れ、感じ、守ること
大きな平和をもたらしてくれた応龍さんなら、
きっとできることです
もちろん、大きな平和をもたらしながらでは
ありますけどね
そして、これは本当は言ってはいけないのかも
しれませんが、幻獣が神獣になるためには、
必要なことなのだと思います
詳しくはわからないのですが
神獣になったとき、その幻獣は多くの人、一人一人に
寄り添っていましたから、そこにヒントがあるのだと
思いますよ
応龍「・・・そうか・・・今・・・理解した・・・。」
透明「少しでもお役に立てたなら幸いです
応龍「・・・お前・・・名前・・・なに・・・
透明「えっ
私は、透明と言います
応龍「・・・透明・・・お前にする・・・。」
透明「えっ
応龍「・・・お前・・・面白い・・・。」
続く・・・。
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