原点へ・・・。・14

原点へ・・・。14

それから三年・・・私は基本となる修行を終え

初めて百薬師としての仕事にのぞむ・・・。

その時の驚きと苦しさは、今でも覚えている

禁精呪術医師の仕事は、単純にして過酷なものだった、

主な仕事は、病気の人間からその病気を取り出し、

自分に宿すことから始まる

その方法は様々で、患者の唾液や排出物からでも

摂取しなければならない・・・とにかく、病気に

伝染ること、病巣を受け取ることから始めなければならない・・・。

病気に感染した後は、とにかく生き残る必要がある

禁精呪術医師が病を克服したあかつきには、

その血に肉に、その病気を治す力が宿り、その血を肉を

今度は患者に与えて、病苦から救い出す・・・。

今の時代で考えれば、病気に対する免疫抗体

自らの身体で作り出すということになるが、

もちろん、感染した病気が必ず治るという保証もなく、

多くの薬師が命を失い、その危険性から禁忌とされていた。

雪乃「うううっ・・・・

身体が痛い・・・息ができない・・・。

あらゆる病魔から身を守り、乗り越える力をつけるための

修行を行ってきたが、その病気の苦しさ辛さ痛みは、

消えることはない

それらのことを一身に受け止め、とにかく生き残る

最初に乗り越えるべき病は、村を今でも襲い続ける

流行り病・・・村の皆が苦しんでいる・・・。

雪乃「・・・私が・・・助けなければ・・・うっ

   ・・・・・・・お・とう・・さん・・・

この時の私は、自分が生かされている

意味を求めていたような気がする・・・。

人の痛み、苦しさ、辛さを身に纏うことで、

多くの人の心底を知り、救うことだけを考えながら、

同時に自分の心にある罪の意識や罪悪感を

誤魔化していたのかもしれない

その後、病を乗り越えた私の血肉は、

薬と称し、兵助達が上手く村人に配り、

流行病はその影を失っていった・・・

そしてこの後、口伝てに広がっていった噂が、

禁精呪術医師のもう一つの仕事を呼び込むこととなる

        続く・・・。

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