原点へ・・・。・13

原点へ・・・。13

それからというもの・・・私は百薬師になるべく

仏門に入り、日々荒行に追われていた・・・。

身体が悲鳴を上げるほどの荒行・・・それでも、

百薬師になるためには、必要なことだった

これらの修行では、修行中に亡くなることも多く、

この30年もの間、誰も行わなかったと言う・・・。

兵助「雪乃

雪乃「兵助・・・

兵助「もうやめろよ薬師になりたいんなら、

   俺と同じ修行をすれば良いじゃないか

   百薬師なんて・・・ただの自己犠牲じゃないか

雪乃「・・・兵助・・・それでも私は、百薬師に

   なりたいの・・・。」

兵助「何で

雪乃「私は、生まれてすぐに死んでいたんだよ

兵助「

雪乃「今日みたいな、雪の日に・・・お師様が私を

   拾ってくれなければ、私はここにはいなかった

   占いも戦も・・・私は沢山の人に生かしてもらったんだ

   それなら、命を賭してまで守ってくれた人たちが

   私を生かしたことを悔やまないように誇れるように

   生きたいんだ

兵助「だからって、百薬師なんて選択は、間違っているよ

   お前は、もうこれ以上・・・不幸になる必要はないんだ

雪乃「・・・不幸・・・・・・。

   兵助私は不幸なのかなぁ~

兵助「・・・す、すまない

雪乃「ううん兵助は優しいね

   でも、私のことを不幸とは思わないで欲しいんだ

   私は、幸せだよ

兵助「えっ

雪乃「不幸って・・・どこまで行けば不幸になるのかなぁ

   逆もそう幸せって、どこまで手に入れれば幸せなの

兵助「そ、それは

雪乃「キツく聞こえたらごめん

   でも、兵助から見て、私が不幸だと思うなら、

   兵助は、今、幸せなんだよ

兵助「

雪乃「人の幸、不幸も、見る人が変われば見え方が違う・・・。

   幸せも不幸も、誰かが決めるものじゃないと、

   私は思ってるんだ

兵助「・・・ごめん・・・そうだよな・・・。

   俺は、いつの間にか雪乃のこと、不幸なやつと、

   決めつけていたのかもしれない・・・・それって、

   嫌なやつだよな

雪乃「ううんそんなことないよ

   兵助は、私を心配してくれたからこそ、その言葉を

   かけてくれたのは、十分伝わっているよ

兵助「それでも、俺は、今の自分の状況とお前の状況を比べて

   お前を不幸と言ってしまった・・・・本当にすまん

雪乃「だから、いいって

   天岱様からも言われたけど、私は前世の業が

   深くてこうなったのかもしれないって、言われたんだ

兵助「・・・業・・・そんな・・・。」

雪乃「でもね、私はそうは思ってない

兵助「えっ

雪乃「前世の業がそうさせているなら、世界は優しすぎるよ

兵助「お前・・・何を言って

雪乃「僧正様は、私の気持ちを気づかって、

   見えない前世に責任を投げてくれたのだと

   思うのだけど、私は、この15年間、

   沢山の幸せを沢山の人にもらったんだ

   それに、今でも生かされている・・・

   これ以上の幸せはないし、今の状況も自ら選んだ

   ことだから、私は前世の業に今の状況をなすりつけて

   逃げるつもりはないんだ

   だから、私は今自分ができる最大限の力をもって、

   世界に人に恩返しがしたいと思ってる

兵助「・・・雪乃・・・お前は、強いな・・・

雪乃「へへへっ褒められちゃった

   ねぇ、兵助・・・。

   それよりも、人の幸せってなんだろうね

兵助「えっ

雪乃「最近、ずっと考えていたのだけど、私は、幸せって

   求めるものの先にあるのかなぁって思うんだ

兵助「どういうこと

雪乃「私は、自分の生きる道として、百薬師を選んだ

   それは、求めるものそして、私が百薬師になって

   はじめて人の役に立ったら、幸せになれる気がするんだ

   そこまで行くためには、色々な上手くいかないことも

   あると思うけど、それは不幸なことじゃなくて、

   ただの事象でしかないし、求めることをやめなければ、

   決して不幸にはならないと思う

   だから、私は自分の選んだ道を信じて進んで行きたい

   と思っているんだ

   それに、不幸なんて、自分が不幸と決めつけなければ、

   不幸にはならないし私が自分のことを不幸と思って

   いたら、いつまで経っても幸せにはなれないからね

兵助「・・・そうか・・・そうかもしれないな

   自分が不幸と思っている土台の上に幸せは積み上げられない

   ものなのかもしれないな・・・まずは、自分を不幸と

   思う気持ちを消し去って、前に進まないといけないのかも

   しれない・・・なんて当たり前で、わかりにくいことなんだろ

雪乃「へへへっ私凄い

兵助「ああ・・・悔しいが

15歳の冬・・・色々な経験が導き出した答え・・・。

まだまだ、甘い考えかもしれないが、この時の私には

自分を支える答えとして、十分だったように感じる・・・・。

          
           続く・・・。
   

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