原点へ・・・。・8
真っ赤な甲冑を身に着け、大きな刀と
無精髭を携えた大男・・・。
その甲冑が日に照らされて気づく
真っ赤な甲冑は、今、赤く染められたものだと・・・。
侍「何だぁ~
神主「立ち去りなさい
侍「ああ~
神主「ここは、神の御前ですぞ
これ以上の無法は、神罰が下りますぞ
侍「神罰だぁ~
あ~はははははははっ
下せるもんなら、下してみせろ
ほれ
比治「お、おやめくだされ
侍「はぁ~
比治「ひっ
その男は、比治様の胸ぐらを片手で掴みあげる
比治「・・・・返せ・・・。」
侍「ああ
比治「村を・・・作物を返せ~
皆の命を返せ~~~~
侍「ほらよ
日に照らされ、鋭い光が走る
比治「ぎゃっ
雪乃「比治様
私は、真っ赤にそまった比治様を抱き起こす
侍「そんなに返して欲しけりゃ~、お前があの世に
行って会ってこいよ
雪乃「比治様
比治「ゆ・き・の・・・にげ・・・。」
雪乃「いや~~~~っ
侍「・・・・ほほ~っ・・・。」
侍の目線が雪乃に向かう・・・。
神主「なんという事を
侍「おい
黙らせておけ
雪乃「いっ
いきなり、強く腕を締め上げられる
侍「おい
俺のために、今から戦勝祈願をしてくれよ~
雪乃「な、何をする
腕を締め上げられながら、引きずられ神社の中へ
侍「くくくっ
雪乃「
侍「人に言う事を聞かす方法をな
はははっ
「ビリビリ
雪乃「
そこからの私は、記憶が混濁していた・・・。
苦しい・・・悔しい・・・悲しい・・・色々な感情が
黒い渦のように巻き起こる・・・。
「ズザッ
侍「ぎゃ~~~~~っ
眼の前が、赤く染まってゆく・・・。
雪乃殿
意識が戻った視線の先には、先程まで息巻いていた侍が
神棚へ頭を垂れるように倒れている・・・。
大内「雪乃殿
申し訳ござらん
雪乃「・・・おお・・・うち様
大内「おおそうじゃ
もう大丈夫じゃ
雪乃「かた・・・ずけた・・・
・・・・ハッ
私は、乱れた着衣のまま、外へ飛び出す
雪乃「・・・そ、そんな・・・お師・・・様・・・。
・・・あああっ・・・あああああ~~~~っ
お・・・おとう・・・さ~ん・・・・
あああああああああああ~~~~~~~っ
声にならない叫びが、赤く積もる雪にこだましていた・・・。
続く・・・。
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